2. 粒子と反粒子が同数なら、宇宙は存在しなかった
粒子と反粒子は、打ち消し合って消滅すると説明しました。
正確には、消滅した地点にエネルギーが残ります。
宇宙の始まりであるビッグバンのとき、粒子と反粒子は同じだけ生成したと考えられています。
けれどビッグバンの後、なんらかのプロセスによって、粒子が反粒子よりわずかに多くなる非対称性が起こりました。
その非対称性は、10億分の1程度の非常に小さなものだったと考えられています。
現在の宇宙は粒子によって構成され、反粒子はほとんど存在しません。
初期宇宙において、反粒子はすべて粒子と打ち消し合い、わずかに多かった分の粒子だけが残りました。
もし反粒子の方が多かったなら、現在の宇宙とは反対の符号をもつ反物質の世界が生まれていたでしょう。
正負の属性以外の性質は粒子と同じですから、目に見える世界は現在とほぼ変わらなかったと思われます。
非対称性が生まれたおかげで、物質を形成する粒子ができ、様々な元素が生まれました。
その元素によって天体が生まれ、私たちのような生物も生まれました。
もしも粒子と反粒子が同量のままだったなら、宇宙は何もない真空になっていたのです。
3. まとめ
粒子には、正反対の電荷をもつ反粒子が存在します。
反粒子は時間をさかのぼる粒子とみなすことができます。
また、ミクロの世界では粒子-反粒子ペアが仮想粒子として生まれては消え、重要な役割を担っています。
初期宇宙において、たまたま粒子が反粒子よりわずかに多かったため、この宇宙は粒子で形成された世界になりました。