私たちの住む太陽系には、8つの惑星が存在します。
これらの惑星の位置関係を、太陽からの距離で見てみましょう。
実は、惑星が位置するのは、地球の公転軌道半径の30倍までの領域です。
それより外側には、太陽系外縁と呼ばれる広大な領域が広がっています。
目次
1. 「天文単位」で見た惑星の位置関係
太陽と地球の平均距離は1億4959万7870キロメートルです。
この距離を、1天文単位(単位:AU)と定義しています。
太陽と各惑星との距離のデータを、表1に示します。
近日点(太陽から最も近い距離)と遠日点(太陽から最も遠い距離)を、天文単位で表しています。
それぞれの平均距離は、(近日点+遠日点)÷2で算出しました。
公転周期は、ケプラーの第3法則から計算しました。
基礎知識についての記事はこちら。
図1. 太陽と各惑星との距離のデータ一覧
近日点
(AU) |
遠日点
(AU) |
平均距離
(AU) |
公転周期
(年) |
|
水星 | 0.308 | 0.467 | 0.388 | 0.24 |
金星 | 0.718 | 0.728 | 0.723 | 0.61 |
地球 | 0.983 | 1.017 | 1.000 | 1.00 |
火星 | 1.381 | 1.666 | 1.524 | 1.88 |
木星 | 4.952 | 5.455 | 5.204 | 11.87 |
土星 | 9.021 | 10.054 | 9.538 | 29.45 |
天王星 | 18.286 | 20.096 | 19.191 | 84.07 |
海王星 | 29.811 | 30.327 | 30.069 | 164.88 |
太陽との平均距離を見ていくと、水星・金星・地球・火星は近い位置にあることがわかります。
地球のすぐ外側にある火星は、太陽との距離が、地球と約1.5倍しか違いません。
ところが、火星の外側にある惑星を見ると、木星では約5倍、土星では約10倍、天王星では約20倍と、惑星の公転軌道同士の間隔はどんどん広くなっています。
一番外側の惑星・海王星に至っては、太陽との距離が地球の30倍に達します。
太陽との距離が大きくなるほど公転周期は長くなり、海王星の場合では、太陽のまわりを1周するのに約165年もかかります。
しかし太陽系全体で考えたとき、惑星の位置する領域は、太陽系の中心部に限られています。
海王星の公転軌道の外側、すなわち太陽からの距離が30AUを超える領域は、太陽系外縁と呼ばれます。
2. 太陽系外縁には何があるのか
太陽からの距離が30~50AUの領域には、「エッジワース・カイパーベルト」と呼ばれる、リング状の小天体の密集地帯が広がっています。
アイルランド人のエッジワースと、アメリカ人のカイパーという、2人の天文学者によって予想されたため、この名前が付きました。
エッジワース・カイパーベルトの代表的な天体は、冥王星(2006年に準惑星に降格)です。
また、エッジワース・カイパーベルトは、ハレー彗星に代表される短周期彗星のふるさとでもあります。
さらに外側の、太陽からの距離が数百AUあたりには、エッジワース・カイパーベルトからはじき出された天体が存在します。
これらの天体を「散乱円盤天体」といいます。
散乱円盤天体の場合、近日点はエッジワース・カイパーベルトの中にありますが、遠日点は外側に大きく外れてしまっています。
代表的な天体は、準惑星エリスです。
エリスは、その大きさ・質量が冥王星を上回り、冥王星が惑星から降格されるきっかけとなったことで有名です。
それよりもっと外側の、太陽からの距離が1~10万AUの領域には、「オールトの雲」と呼ばれる天体群があると仮定されています。
1950年にオランダ人のヤン・オールトが、太陽系の果てに長周期彗星の巣があるはずだとして、太陽系を球状に取り囲む小天体群を提唱しました。
現時点では、オールトの雲に属する天体はまだ発見されていません。
オールトの雲の端に当たる10万AUを、太陽系の最外周と考えると、太陽系の半径は約1.58光年に相当します。
3. まとめ
太陽系外縁と呼ばれる、太陽からの距離が30AU以上の領域には、まだまだ観測の進んでいない広大な世界が広がっています。
私たちの地球を含む8つの惑星が存在する領域は、太陽に非常に近い、太陽系の中心部であることがわかります。