太陽系の天体に見るギリシャ・ローマの神々

この記事では、太陽系の天体のうち、ギリシャ・ローマの神話に登場する神々の名を当てられているものについて紹介します。

それぞれ、由来となっている神の名や、その神についての説明を一覧化しています。

目次

1. 天体に神の名を当てる

2. 太陽系の天体一覧

  2-1. 主要な天体

  2-2. その他の準惑星・小惑星

1. 天体に神の名を当てる

太陽系を構成する天体の多くに、ギリシャ・ローマの神々の名が当てられています。

神話の体系はギリシャ時代に確立され、その後ローマ帝国に受け継がれています。

そのため、ギリシャとローマで神々の名は違いますが、ほぼ同じストーリーとして理解することができます。

ちなみに、星座にはギリシャ神話に登場する人物や、特別な物の形が投影されています。

現在、私達が知っているポピュラーな星座の多くはトレミー星座と呼ばれ、紀元2世紀頃にはクラウディオス・プトレマイオスによってまとめられていました。

太陽系の天体は、いわば星座より格上の存在で、ギリシャ神話におけるティタン神族・オリュンポス神族といった、最高神ゼウスに連なる神々の名を冠しています。

ギリシャ神話の概要については、以下の記事を参考にしてください。

宇宙にまつわる神話 ~古代ギリシャ編~

2. 太陽系の天体一覧

2-1. 主要な天体

◆ 太陽(恒星)

英名はSun。

ギリシャ神話のヘリオスまたはアポロン。ローマ神話のソル。

ヘリオスは、ティタン神族のヒュペリオンとテイアの子で、最高神ゼウスのいとこです。

アポロンは、最高神ゼウスが女神レトとの間にもうけた息子です。

両者はやがて同一視されてローマの太陽神ソルとなり、ローマ帝国で重んじられる神となりました。

ソルの生誕日は12月25日とされ、現在はクリスマスとして引き継がれています。

◆ 地球(惑星)

英名はEarth。

ギリシャ・ローマ時代には、「地球」という概念はありません。

敢えて当てはめるとするなら、ギリシャ神話の大地の女神ガイア。ローマ神話のテラ。

ガイアは最高神ゼウスの祖母にして、ギリシャの創世神です。

◆ 月(衛星)

英名はMoon。

ギリシャ神話のセレネまたはアルテミス。ローマ神話のルナ。

セレネは、太陽神ヘリオスの姉または妹で、最高神ゼウスのいとこです。

両親はヘリオスと同じく、ヒュペリオンとテイアです。

アルテミスはアポロンの双子の姉で、最高神ゼウスの娘です。

◆ 水星(惑星)

英名はMercury。

ギリシャ神話のヘルメス。ローマ神話のメルクリウス。

ヘルメスは、最高神ゼウスが昴(プレアデス星団)のマイアとの間にもうけた息子です。

ゼウスは才ある息子を愛し、地下の神々への使者に任命しました。

ヘルメスの姿は、翼のあるサンダルを履いた青年で表されます。

ローマ神話のメルクリウスと同一化すると、翼のある帽子を被った姿に変わり、神と人間との仲介者となりました。

◆ 金星(惑星)

英名はVenus。

ギリシャ神話のアフロディーテ。ローマ神話のウェヌス。

この女神の発祥は古く、メソポタミアの女神イシュタル(イナンナ)などに起源があるとされます。

アフロディーテは最高神ゼウスの娘とも、ゼウスの祖父ウラノスの体の一部から生まれたともいわれます。

軍神アレス(火星)はアフロディーテの愛人であり、2人の間にはデイモス、ポボスという息子がいます。

◆ 火星(惑星)

英名はMars。

ギリシャ神話のアレス。ローマ神話のマルス。

アレスは、最高神ゼウスが姉ヘラ(正妻でもある)との間にもうけた息子です。

戦争の神であり、美の女神アフロディーテとの子であるデイモス、ポボスを従えています。

デイモスとは「恐怖」、ポボスとは「敗走」という意味で、戦争に付き物であるとされています。

火星にある2つの衛星ダイモスとフォボスは、この息子たちの名に由来しています。

◆ 木星(惑星)

英名はJupiter。

ギリシャ神話のゼウス。ローマ神話のユピテル。

ゼウスは、ティタン神族のクロノスとレイアの三男にして末っ子で、ギリシャの最高神です。

木星にはたくさんの衛星がありますが、その中でも特に大きいのはガリレオ衛星と呼ばれるイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストです。

これらの衛星の名は、ゼウスが寵愛した神話上の人物が由来となっています。

◆ 土星(惑星)

英名はSaturn。

ギリシャ神話のクロノス。ローマ神話のサトゥルヌス。

クロノスは、大地の女神ガイアが夫ウラノス(息子でもある)との間にもうけた、ティタン神族の末っ子であり、最高神ゼウスを含むオリュンポス神族の父です。

クロノスとサトゥルヌスは、我が子から玉座を奪われる点が共通しています。

ただし、冥府タルタロスに幽閉されるクロノスに対して、サトゥルヌスは新たな領地で黄金時代を築くという違いがあります。

ローマ帝国ではこの神の祭礼が12月17日~23日に行われ、太陽神ソルの生誕日12月25日と合わせて、現在のクリスマスとなっています。

土星にもたくさんの衛星があります。

ティタン神族に由来するタイタン、妻レイアに由来するレア、姉テテュスに由来するテティスなど、クロノスに関連した名が付けられています。

◆ 天王星(惑星)

英名はUranus。

ギリシャ神話のウラノス。ローマ神話のカイルス。

ウラノスは、大地の女神ガイアから生まれ、ガイアの夫となりました。

天空の神であり、ティタン神族をはじめとする、ギリシャ神話初期の神々の父です。

最高神ゼウスの祖父にあたります。

天王星にも衛星があります。

しかし、その名はシェイクスピアなどの戯曲から取られ、ギリシャ神話に由来する名をもつ衛星はありません。

◆ 海王星(惑星)

英名はNeptune。

ギリシャ神話のポセイドン。ローマ神話のネプトゥヌス。

ポセイドンは、クロノスとレイアの次男であり、最高神ゼウスの兄です。

ポセイドンもネプトゥヌスも水を支配し、妻が海の女神である点が共通しています。

海王星最大の衛星トリトンは、ポセイドンが妻アムピトリテとの間にもうけた息子トリトンに由来します。

また、人間の王女との間にできた息子がオリオン、怪物メドゥーサとの間にできた息子がぺガススで、こちらは星座になっています。

◆ 冥王星(準惑星)

英名はPluto。

ギリシャ神話のハデス。ローマ神話のディース。

ハデスは、クロノスとレイアの長男であり、最高神ゼウスの兄です。

冥界の神であり、地下の富を持つことから、プルトン(富める者)とも呼ばれます。

このプルトンという呼び名が、冥王星の英名の由来となっています。

冥王星の衛星カロンは、冥府を流れるステュクス河の渡し守カロンに由来します。

2-2. その他の準惑星・小惑星

◆ ケレス(準惑星)

セレスと表記されることもあります。

火星と木星の間にある、小惑星帯に属する準惑星です。

ギリシャ神話のデメテル。ローマ神話のケレス。

デメテルは、クロノスとレイアの次女であり、最高神ゼウスの姉です。

豊穣を司る女神です。

※豆知識

デメテルは弟ゼウスとの間に、娘ペルセポネをもうけました。

ペルセポネは、伯父である冥界の神ハデスの妻となっています。

冥王星が惑星から降格となる前、冥王星より外側を公転する「幻の10番惑星」の話が持ち上がった時期があり、フィクションの世界では、10番惑星にペルセポネの名が想定されたこともありました。

しかし、冥王星が惑星でなくなり、新たな惑星が発見される可能性も低くなりました。

近年、木星の衛星に、ペルセポネの別名であるコレーという名が付けられました。

◆ エリス(準惑星)

太陽系外縁天体に属する準惑星です。

2006年に冥王星が準惑星に降格となる際、その根拠となった天体です。

ギリシャ神話の女神エリス。

一説では、軍神アレスの妹で、ゼウスの娘といわれます。

争いの神で、トロイア戦争の発端となるトラブルを引き起こしました。

◆ パラス(小惑星)

小惑星帯に属する小惑星です。

ギリシャ神話の女神アテナの別名。

アテナは、最高神ゼウスが最初の妻メティス(ゼウスのいとこでもある)との間にもうけた娘です。

男であれば父ゼウスから玉座を奪うと予言され、恐れられました。

◆ ジュノー(小惑星)

小惑星帯に属する小惑星です。

ギリシャ神話のヘラ。ローマ神話のユノ。

ヘラは、クロノスとレイアの三女であり、最高神ゼウスの姉であり正妻でもあります。

◆ ベスタ(小惑星)

小惑星帯に属する小惑星です。

ギリシャ神話のヘスティア。ローマ神話のウェスタ。

ヘスティアは、クロノスとレイアの長女であり、最高神ゼウスの姉です。

かまどの神であり、聖火を守っています。

◆ キロン(小惑星)

土星~天王星間に位置する小惑星です。

ギリシャ神話のケイロン。

最高神ゼウスの父クロノスが、姪のピュリラとの間にもうけた息子です。

半人半馬のケンタウルス族の長で、正義を愛する賢者でもあります。

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