ケプラーの法則 ~惑星が回る軌道のお話~

4. ケプラーの第3法則

調和の法則ともいいます。

「惑星の公転周期の2乗は、その惑星の太陽からの平均距離の3乗に比例する。」

公式で表すと以下のようになります。

$$T^2=kr^3$$

\(T\):惑星の公転周期、\(r\):惑星の太陽からの平均距離、\(k\):定数です。

惑星の太陽からの平均距離\(r\)は、楕円軌道では楕円の長半径と一致します。

定数\(k\)は、公転周期を「年」、距離を「天文単位(AU)」で表した場合、太陽系では1になります。

ちなみに天文単位とは、太陽と地球の平均距離を1AUとした距離の表し方です。

豆知識④ ニュートンの万有引力の法則による証明

ケプラーの第3法則は、ニュートンの万有引力の法則によって証明されます。

ここで質量\(m_{1}\)の物体と、質量\(m_{2}\)の物体の間にはたらく引力を考えます。

この2つの物体間の距離を\(r\)とすると、図3のような引力\(F\)がはたらきます。

図3. 2つの物体間にはたらく万有引力の図

引力\(F\)は以下の式で表すことができます。

$$F=\frac{Gm_{1}m_{2}}{r^2}$$

\(G\)は重力定数と呼ばれるもので、宇宙のどこでも一定の値です。

ここで、太陽のまわりを回る惑星を考えましょう。

太陽の質量を\(m_{1}\)、惑星の質量を\(m_{2}\)、惑星の公転周期を\(T\)とします。

話を単純にするために、ここでは惑星の軌道を半径\(r\)の真円としましょう。

図4. 半径\(r\)の軌道をまわる惑星にはたらく力

公転する惑星には、常に太陽の方向に向けて「求心力」と呼ばれる力がはたらきます。

求心力\(F_{c}\)は、以下の式で表されます。

$$F_{c}=\frac{m_{2}v^2}{r}=\frac{4\pi^2m_{2}r}{T^2}$$

\(v\)は惑星が公転軌道上をすすむ速さで、軌道の長さ\(2\pi\)\(r\)を公転周期\(T\)で割ったものです。

この、求心力\(F_{c}\)が、引力\(F\)と等しくなります。

$$\frac{Gm_{1}m_{2}}{r^2}=\frac{4\pi^2m_{2}r}{T^2}$$

これを書き換えると、以下のようになります。

$$m_{1}=\frac{4\pi^2}{G}\frac{r^3}{T^2}$$

\(\frac{r^3}{T^2}\)の部分に着目してください。

\(m_{1}\)は太陽の質量なので、決まった値です。

すなわち、どの惑星についても\(\frac{r^3}{T^2}\)は等しい値でなくてはいけません。

よって、ケプラーの第3法則である、\(k=\frac{T^2}{r^3}\)(\(k\)は定数)が証明されました。

5. まとめ

ケプラーの法則は、とてもシンプルなものです。

しかしそれは、ヨハネス・ケプラーとティコ・ブラーエという2人の学者が、気の遠くなるほどの観測データを収集し、完成させたものです。

400年も昔に発見された法則が、現代の宇宙観測にも使われているのです。