月の直径は、親惑星である地球の直径の約27%です。
この大きさは、太陽系の他の衛星と比べると、親惑星に対して非常に大きなものです。
太陽系の衛星の中で、月の大きさがどれだけ特異なものか、比較してみましょう。
目次
1. 太陽系の衛星について
惑星のまわりを公転する天体を、衛星といいます。
太陽系の8つの惑星には、合計170個を超える衛星があります。
太陽系の内側に公転軌道を持つ惑星には、衛星がほとんどありません。
水星・金星には衛星が無く、地球は1個(月)、火星は2個(フォボスとダイモス)の衛星を持ちます。
一方、木星と土星には数多くの衛星が存在し、今なお新たな発見が続いています。
木星・土星だけで、太陽系に存在する衛星の約75%を占めます。
さらに外側に公転軌道をもつ天王星・海王星にも衛星があります。
現時点でわかっている天王星の衛星は27個、海王星では14個です。
木星や土星には及びませんが、地球に比べればたくさんの衛星を従えています。
直径で比較するなら、太陽系最大の衛星は、木星の衛星であるガニメデです。
2番目に大きいのは、土星の衛星であるタイタンです。
ガニメデとタイタンの大きさは、惑星である水星の大きさを上回ります。
親惑星である木星・土星はともに、太陽系の中では圧倒的に大きな惑星です。
大きな惑星のまわりには、大きな衛星が存在する傾向にあります。
2. 親惑星との直径比では、月が太陽系最大の衛星!
ここで、比較の仕方を変えてみましょう。
親惑星の大きさに対して、それぞれの衛星はどれくらいのサイズになるでしょうか。
表1に示すのは、8つの惑星の直径と、それぞれの惑星で最大の衛星の直径です。
衛星/惑星直径比とは、「衛星の直径÷親惑星の直径」を求めた値です。
表1. 親惑星と衛星の直径比
親惑星 | 各惑星で最大の衛星 | 衛星/惑星
直径比 |
||
名称 | 直径 (km) | 名称 | 直径 (km) | |
水星 | 4879 | (惑星なし) | ‐ | - |
金星 | 12104 | (惑星なし) | ‐ | - |
地球 | 12742 | 月 | 3474 | 0.273 |
火星 | 6779 | フォボス | 23 | 0.003 |
木星 | 139822 | ガニメデ | 5268 | 0.038 |
土星 | 116464 | タイタン | 5151 | 0.044 |
天王星 | 50724 | チタニア | 1580 | 0.031 |
海王星 | 49244 | トリトン | 2707 | 0.055 |
月の場合、地球に対する衛星/惑星直径比は0.273です。
これは月の直径が、地球の直径の約27%もあるということです。
衛星/惑星直径比が2番目に大きいのはトリトンですが、親惑星である海王星の、わずか5.5%の直径しかありません。
地球の大きさに対して、月が異様に大きいことがわかります。
親惑星との対比で言うならば、月は太陽系最大の衛星なのです。
冥王星が惑星としてカウントされていた頃は、冥王星の衛星カロンが最大でした。
冥王星の直径は2377km、カロンの直径は1212kmです。
カロンの直径は、冥王星の直径の約51%にも及びました。
冥王星が準惑星に降格したことでカロンが対象から外され、月が1番になりました。
3. まとめ
普段、私たちは月があることを当たり前に感じています。
しかし、衛星が1個しかない惑星は、太陽系には地球しかありません。
そしてその衛星は、太陽系の中でも異様なほどに大きいものです。
月がもっと小さかったなら、月夜は今よりずっと暗くなったのでしょうか。
あるいは、いくつもの衛星がまわる、不思議な夜空が見られたのかもしれません。