インド占星術には、「品位」と呼ばれる7つの判断基準があります。
惑星の強弱や吉凶を判断するもので、品位がわかるだけでもホロスコープから多くを読み解くことができます。
品位には、高揚、減衰、ムーラトリコーナ、友好、敵対、中立、定座(定位置)があります。
目次
1. 高揚と減衰
1-1. 高揚のサイン
惑星は、高揚の星座(サイン)に「在住」するとき、最も強くなります。
また、高揚のサインに在住する惑星が「支配」するサインも強くなります。
ホロスコープでは、360°の天球が、12のサインで分割されています。
従って、1つのサインは30°に相当します。
高揚のサインの中でも、特定の度数に近いほど、高揚は強いと判断されます。
7つの惑星が高揚するサインと、その影響が最大となる度数は、図1のとおりです。

図1. 高揚のサインと度数
1-2. 減衰のサイン
惑星は、減衰の星座(サイン)に「在住」するとき、最も弱くなります。
また、惑星が最も傷つけられて影響力が弱まる、特定の度数が存在します。
7つの惑星が減衰するサインと、影響が最も弱まる度数は、図2のとおりです。

図2. 減衰のサインと度数
ただし、減衰がキャンセルされる場合もあります。
例えば、減衰している惑星に、マイナスの影響を及ぼすドゥシュタナ・ハウス(第6,8,12ハウス)が絡んだ場合は、意味合いがプラスに転じます。
2. ムーラトリコーナ
高揚ほどではありませんが、惑星が強くなります。
ムーラトリコーナの度数範囲を、図3に示します。
図3の度数範囲に近いほど、最も効果が強くなります。
ただし、度数範囲から外れていても、惑星がムーラトリコーナになるサインの中に入っている場合は、弱いながらもムーラトリコーナと見なして構いません。

図3. ムーラトリコーナの度数範囲
3. 友好と敵対、中立
ある惑星に対して、その他の惑星は友好、敵対、中立のいずれかに分類されます。
その関係は、永続的なものと、一時的なものがあります。
友好惑星が支配するサインに「在住」する惑星は良い働きをします。
また、友好惑星とコンビネーションを組む惑星も、良い影響を及ぼします。
一方、敵対惑星と関わる場合、惑星は良い働きを阻害されます。
3-1. 永続的な関係
友好惑星:
ムーラトリコーナのサインから、時計回りに数えて2,4,5,8,9,12番目のサインを見ます。
これら6つのサインの支配星(ルーラー)を確認して、2つのサインを支配しているルーラーがあったなら、そのルーラーは友好惑星です。
敵対惑星:
ムーラトリコーナのサインから、時計回りに数えて3,6,7,10,11番目のサインを見ます。
これら5つのサインの支配星(ルーラー)を確認して、2つのサインを支配しているルーラーがあったなら、そのルーラーは敵対惑星です。
中立惑星:
友好惑星にも敵対惑星にも該当しない惑星は、中立惑星となります。
3-2. 一時的な関係
惑星同士の距離によって、一時的に関係が変化します。
ある惑星Aが「在住」するサインの支配星である、惑星Bを見ます。
惑星Aが在住するサインから、時計回りに数えて2,3,4,10,11,12番目のサインに惑星Bが在住するとします。
このとき惑星Bは、惑星Aにとって一時的な友好惑星となります。
一時的な友好惑星でない惑星は、すべて一時的な敵対惑星となります。
永続的な友好・敵対・中立から、一時的な友好・敵対を差し引きして、惑星の良し悪しを検討します。
4. 定座(定位置)
惑星が、その惑星が支配するサインに「在住」することを定座(定位置)といいます。
その惑星にとって最も居心地の良いサインに入っており、惑星は良い働きをします。
サインの支配星については以下の記事を参照ください。
5. まとめ
惑星の強弱や吉凶を判断する、「品位」の見方について紹介しました。
最も強い「高揚」と、それに次いで強い「ムーラトリコーナ」、最も弱い「減衰」の惑星がわかるだけでも、ホロスコープから多くのことがわかります。
ただし、他の影響を受けて強められたり、傷つけられたりする場合があります。
総合的な判断ができるようになるほど、解釈の精度は上がります。