西洋占星術のホロスコープを読むための、「在住」と「支配」という考え方について紹介します。
実際のホロスコープで、その読み取り方を見ていきます。
まずは気軽に、惑星がどのサイン、どのハウスにいるかを見るだけでも、十分な情報を得ることができます。
目次
1. サインの読み方
1-1. 惑星の偏りを読む
まず初めに、星座(サイン)の分類により、ホロスコープ上の惑星に偏りがあるかを確認しましょう。
サインの分類と支配星についての説明はこちら。
例として、1997年6月1日13時に東京都で生まれた人のネイタル・チャート(図1)で見てみましょう。
図1. ネイタル・チャートの一例
2区分(性別による分類)では、男性宮に7個、女性宮に3個の惑星が入っています。
この人は男性宮が優位で、積極的で外向的な性格といえます。
3要素(行動性による分類)では、活動宮に3個、不動宮に3個、柔軟宮に4個の惑星が入っています。
この人は柔軟宮が優位で、適応力が高く融通が利くでしょう。
ただし、活動宮と不動宮にも複数の惑星があるので、全体的にバランスがとれた性格です。
4元素(気質による分類)では、火の宮に3個、地の宮に3個、風の宮に4個の惑星が入り、水の宮には惑星がありません。
この人は風の宮が優位で、理性的でクールな傾向です。
火の宮と地の宮にも惑星が複数あるので、自尊心が高い面や、堅実な面もあるでしょう。
水の宮は1つも惑星が無く、この人は感情のままに動くタイプではないようです。
このように、惑星の偏りの有無によって、その人の特性がわかります。
1-2. 惑星のサインを読む
次に、各惑星がどのサインに入っているかを確認します。
サインは、その惑星が天球上のどこにいるかを示す地図なので、サイン同士の境界線はとてもはっきりしています。
2つのサインの境界線近くに惑星があった場合、その惑星が入れるのは1つのサインです。
いくら隣のサインの近くにあろうとも、関係ありません。
惑星が入っているサインは、その惑星に影響を与えます。
また、そのサインの支配星も惑星に影響を与え、その性質を変化させます。
図1のホロスコープでは、太陽がふたご座のサインに入っています。
太陽がもつ本来の意味に加えて、ふたご座のもつ分類上の特性や、支配星の特性が色濃く現れてくることになります。
ふたご座は、男性宮・柔軟宮・風の宮であり、支配星は水星です。
太陽は「自己実現」を表します。
水星支配なので、知性でアプローチする傾向がありそうです。
また、ふたご座ですので、自己実現には積極的ですが、そのやり方は意外と融通が効いて、熱くなり過ぎることはないといえます。
その他の惑星についても、「おひつじ座の月」「おうし座の水星」という具合に、1つ1つ読み解いていきます。
ただし、木星・土星・天王星・海王星・冥王星については、そこまで神経質に考えなくてよいと思います。
これらの惑星は公転周期が長いため、1つのサインに長期間滞在しています。
そのため、個人の特性を決めるというより、時代的・世代的な影響を示します。
木星の場合、公転周期は約12年で、1つのサインに約1年間滞在します。
同級生が全員、同じサインの木星を持っているんだなと考えると、その年代の人に共通する特性を与えるものとして捉えることができます。
土星の公転周期は約29年、天王星では約84年、海王星では約165年、冥王星に至っては約248年です。
その世代特有の傾向や、時代背景を考えるのに適した惑星ですが、まだ十分に体系化されていない部分も多くあります。
2. ハウスの読み方
続いて、12のハウスが示すことを読み解きます。
惑星があるハウスに入っているとき、惑星がそのハウスに「在住」しているといいます。
ハウスを読む上で、そのハウスに在住する惑星はとても重要です。
また、サインによるハウスの支配も、そのハウスを読み解く際の手掛かりとなります。
ハウスの始まりのカスプ(境界線)に位置するサインが、そのハウスを「支配」し、影響を与えます。
ハウスを読む際には、第1ハウスと第7ハウス、第2ハウスと第8ハウス、…といったように、ホロスコープ上で180°反対にいるハウスをセットで読むとわかりやすいです。
各ハウスの説明はこちら。
各惑星のもつ意味はこちら。
図1のホロスコープの、第1ハウスを見てみましょう。
第1ハウスに惑星は在住していないので、ハウスを支配するサインを読みます。
この人の第1ハウスはてんびん座支配です。
てんびん座は、男性宮・活動宮・風の宮であり、支配星は金星です。
第1ハウスのサインの支配星は、「チャートルーラー」と呼ばれます。
その人の向かう先を示す、重要なものです。
チャートルーラーが示す傾向は、その人の人生に大きな影響を与えます。
第1ハウスは自分自身を表します。
チャートルーラーが金星なので、美的感覚や芸術性を追求する人かもしれません。
てんびん座なので、積極的かつ活動的に行動しますが、そのやり方は理性的で落ち着いている傾向にあるのではないでしょうか。
次に、180°反対の第7ハウスを見てみます。
第7ハウスはパートナーを示します。
図1のホロスコープでは、月と土星が在住しています。
このハウスを支配するサインはおひつじ座です。
おひつじ座は、男性宮・活動宮・火の宮であり、支配星は火星です。
「感情」の月が入っているので、自分の思いや、周囲の人にどう思われるかに左右されやすいでしょう。
おひつじ座の火星支配なので、人間関係の築き方は積極的で情熱的かもしれません。
火星の悪い面が出てくると、短気やきつい言動で、相手と口論になる可能性があります。
トラブルの原因となるため、注意すると良いでしょう。
「老成、遅延」の土星により、晩婚や歳の差婚が考えられます。
このように、第1~12ハウスを読んでいきます。
ハウスの場合は、サインと違って、その境界線がグラデーション状になっています。
たとえば図1のホロスコープでは、第4ハウスの海王星が、第5ハウスとの境界線にかなり近い位置にあります。
このような場合、この海王星は第5ハウスにも影響を及ぼしていると読みます。
どの程度の影響を考えるべきかは、そのホロスコープの持ち主の性格やこれまでの経験を考慮して、合っている解釈を選べば良いでしょう。
3. まとめ
西洋占星術において、ホロスコープ上の惑星を、サインとハウスからどのように読み取ることができるかを紹介しました。
より精度を上げるには、惑星の良し悪しや、アスペクト(惑星と惑星が作る角度)によっての判断が必要ですが、初めのうちは気にしすぎると混乱してきます。
まずはざっくりと意味を捉えて、ホロスコープを読むことを楽しめば良いと思います。